富裕層の専業主婦と失業者の共通点から見るFIREのデメリット

お金・投資

皆さんはFIREを目指していますか?
今日は会計事務所の中の人の視点から、FIREのデメリット、FIREを目指すのはやめた方がいいかも…ということを紹介します。

FIREを目指すにあたって重要なことと、盲点になりがちな部分にも触れます。

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私の周りのFIREな人

FIREとは日本証券業協会のサイトによると「Financial Independence, Retire Early」のそれぞれの単語の頭文字で、「経済的自立と早期退職」を表します。
具体的には、資産運用による利益で生計を立てられる状況を作って早期リタイアするといった意味です。

全開
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私はFIREを実現した人を数人知っています


もともと世帯年収が高い公務員夫婦で、貯蓄がハイペースでできたので、夫の定年に合わせて妻も早期退職したという人。
アパートを何棟か購入して、不動産経営をすることになり、家賃収入を得られるようになったから会社を辞めたという人など。

FIREに至るストーリーは十人十色ですが、普通の会社員の私からすると正直うらやましいなと感じます。

だって毎日満員電車や渋滞に巻き込まれながら通勤したり、時には自分に責任がないことについても謝罪する必要があったり、帰る間際に仕事を振られたり、そういう嫌なことから解放されるんですもん。
お金が十分あって、もうせっせと働かなくていいなんて最高です。

でもね、会社を辞めて念願のFIREを達成した人の中には、FIREをやめてまた働き始めた人もいます。それもどうしてもお金が必要になったってわけじゃなくて、他の理由でです。
あんなに憧れていたFIREなのに。そしてあんなに嫌だった会社勤めなのに。なんでまた会社に戻ったんでしょうか?

それから、私が見た裕福な家庭の専業主婦(ご主人が他界されて財産を相続した方)と失業者にはひとつの共通点があることが分かりました。

全開
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FIREをやめた人、そして遺産相続した人と失業者の共通点。ここにFIREのデメリットがあります

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FIREのデメリット

まずFIREをやめて働きに出ることにした人のケース。

目標としていたFIREを達成できたのに、なんで?と聞いてみたら、こう返ってきました。
「会社員だと職場での役職があったり、人とのつながりがあったり、働いていれば社会の役に立っている気がなんとなくでもしたりしたけど、一気にそれがなくなったら自分が存在する意義を見失ってしまった」とのことでした。

少なからず誰でも承認欲求はあるし、ここにいていいんだよと感じられる幸せは求めるものですよね。人と接することがなくなると、そこが満たされなくなってしまった。
プライベートで友達がいる人でも、自分は退職していたとしても、友達は現役でバリバリ働いているんだったらなかなか会えないし、FIRE達成のために人付き合いも控えめにしていたというならさらに友達と会う機会を作りづらいかもしれません。

株式投資の配当や不動産経営による収入があったとしても、社会で自分の居場所がやっぱり欲しくなってまた働くことにした、ということです。

また、別の方のケースですが、退職したことで早起きをしなくなって、生活リズムが崩れがちになって、外出する機会も減ったのでなんとなく家にこもりがちになったりもして、心の調子がちょっと悪くなっちゃったという話を聞いたこともありまして。

嫌なこと、悪いことだけじゃなくて、例えば彼氏ができたとか、推しのライブに行けることになったとか、嬉しいことも心にとってはストレスになるので、FIREを達成したとしてもメンタル不調になってしまうというのはあるのかもしれないなと感じました。

次に遺産相続をした主婦の方。この方と失業した方の共通点は、自分で稼ぐ術を失っているということです。

ある時から収入がなくなりました。
するとどうなるか。
十中八九、お金が減ることを極端に恐れるようになります。

失業者の場合は、もちろんある程度の貯蓄がなければ、日々の生活にもすぐに困ってしまいますよね。
私も大学1年の初めの頃にそういう心理状態になったことがあるので気持ちは分かります。

学生時代は奨学金とバイト代で授業料や家賃、生活費を払っていたんですが、大学1年の4月、5月というのは、奨学金は申し込んだばかりだし、バイトも始めたばかりだから、しばらくの間は入ってくるお金がゼロです。

ほんとにその頃はお金のことばかり気になっていて、お金を使うことが怖かったです。部屋の電気は消したままで過ごしました。

遺産相続した主婦の方だったら、お金はあるんだから余裕のFIREでしょ?と思われるかもしれませんが、実際は「主人が頑張って残してくれたお金を減らしたくない」「税金を取られたくない」という思いがけっこう強くなるみたいです。

亡くなった方の確定申告を遺族が代わりに行う時は4ヶ月以内、そして相続税の申告と納付は10ヶ月以内にする必要があるんですが、ここで財産隠しっぽい動きが見られることもあります。

財産を持っている人の健康状態が良くなくて、少しずつ意識も遠のいていって…という状況になったあたりで、口座から現金が引き出されているような時です。
こういう場合は亡くなった方がいつまで自分の意思でお金を管理できたか、いつまで意識があって家族が財産を管理していたか、コミュニケーションができなくなったのはいつからなのかなど、遺族の記録、あるいは記憶から、お金の動きが不自然ではないか調べるんですが、遺族の中でも自分に稼ぐ術がない方は相続の際になんとかお金が減らないようにできないかと考える傾向にあると感じます。

でも節税と脱税は違うし、後で追徴課税されたり信用を失くしたりしても困るので、ちゃんと納めるべき税金は納めていただかないといけません。

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ここで言いたいのは、いくら財産があったとしても、収入がなくなると精神的にあまりよろしくないということです

私は貯金がほとんどない状態で奨学金もバイト代もしばらく入ってこないという時期を経験したし、転職で収入がかなり減ったりもして、それだけでもけっこう辛かったので、FIREの仕方にもよりますが、たくさん貯金してFIREしたら後はもう働きたくない!と思っている人にはちょっと頭の片隅に置いといてほしい注意事項です。

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FIREを目指すにあたって重要なこと

あなたはなぜFIREしたいのか?

FIREを達成した後はどんな生き方をしたいのか?

いくらお金があれば会社を辞めても生活できそうかという計算は多くの人がすると思います。
が、それだけじゃなくて、先ほども書いたように、FIREの仕方によっては社会との接点が激減したり、寂しくなっちゃったり、せっかく貯めたお金を使うのが怖くなったりするかもしれません。

それらを特に問題視しないのか、それとも例えば会社は辞めても副業としてやっていることはそのまま続けたりアルバイトをしたりして収入源や人とのつながりを確保するのか、よく考えておくべきです。

全開
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また、国民健康保険や国民年金の納付は自分で行うことになります。

健康保険料は会社員であれば会社と従業員が半分ずつ負担して納付しますが、会社を辞めると全額自分で納付することとなります。

年金も同じで、会社員なら会社と従業員が半分ずつ負担していたものが、退職後は国民年金を全額自分で納付することになります。

いずれも会社員なら毎月の給与から天引きされて、会社が納付手続きをしてくれていましたが、退職後は全て自分で行う必要があります。

年金については、退職すると厚生年金や年金基金がなくなるので、定年まで働く場合と比べると老後に受け取る年金が少なくなってしまうこともしっかり把握しておきましょう。

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他にも、会社員時代には毎年受診できていた健康診断も、自分で手配することになります

さらに、定年後の生活費は、一般的には現役時代の7割程度と言われていますが、若いうちに退職すると十分元気だから旅行しようとか、オシャレも楽しみたいとか、出費があまり減らないかもしれません。

さらにさらに、資産の種類によっては今後見込まれるインフレに耐えられないというリスクもあります。

かなり少数派だとは思いますが、資産の大部分が現金や普通預金、定期預金だよという方。物価の上がり方が預金利息を大幅に超えるようでは、利息を受け取ったところで生活費は賄えません。
不動産はインフレに強い資産だと言われますが、価格がかなり高〜くなった物件を買える、または部屋を借りられる人がいるかどうかがまた問題になってきます。

さあ、ここまで書いたところで、FIREってどんなに計画してもよっぽど何億円と資産がない限りなんだかいろいろ大変そうだな〜と感じた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

FIREを目指す人に伝えたいことは・・・
FIREを目指すのはいいけど retire earlyよりもfinancial independenceを重視すべきということです。

資産を蓄えて、会社が本当に嫌になったらいつでも辞められるんだぞ!という状態にしておくとか、他の事業にチャレンジできる可能性を作るとか、お金がある安心感は素晴らしいものです。

だけどFIとREは分けて考えるべきで、financial independenceはしても、だからってretireは別にしなくてもいいくらいです。

retireについては、会社に依存せずに自分自身が稼げる人になることは重要で、好きなことで収入を得ながら時間を自由に使えるようになれれば最高じゃないでしょうか。

私は自力でFIREをできた人は尊敬しますし、素直にうらやましいです。
でもいざリアルにFIREを考えたら、やっぱり資産が目減りした場合なんかを想像すると怖いし、耐えられるメンタルは持ち合わせていないので、完全FIREは現実的ではないと判断しました。

全開
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私はFIREではなく、お金の心配をしないで生活できる状態になりたいんだなということも改めて認識しました。

これはかなり貧乏な家庭で生まれ育ったことが影響していて、働きたくないんじゃなくて、お金に困らない生活をしたいんです。

だからもし巨万の富を築くことができたとしても何かしら仕事はすると思います。いわゆるセミFIRE、セミリタイアですね。これなら収入はあるので、精神的にも大丈夫かなと思っています。

今回はFIREのデメリットや現実的に考えた時のリスクについてお伝えしました。

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