老後のお金について不安を感じている人はとても多いですが、不安の正体は何だと思いますか?
不安、怖さを感じるのは「よく分からないから」です。
いつまで生きるか、いつまで元気でいられるか、年金はもらえるのか、生活費はどれくらいかかるか、今の時点ではいろんなことが分かりませんよね。
だから漠然と不安になっているんです。
ということは、調べれば分かりそうなことについては確認してだいたいの答えを導いてやればいいんです。
少し手間がかかると感じるかもしれませんし、必ずしも正確な答えが分かるとも限りませんが、不安は減らせます。
結局のところ、自分は老後までにいくら貯めればいいのか分からないというのが一番の不安の元なので、そこを一緒に解明していきましょう。
不安解消の第一歩は現状の把握
お金を貯めたい人、貯めている途中の人が定期的にやるべきことは、まず現状把握です。
つまり自分の現在地を知ることです。
毎月給料をいくら受け取っていて、生活費にいくら使っているのか。また、今貯金がいくらあって、住宅ローンや奨学金をいくら借りているか。それらを返し終わるのは何年後か。
もしかしたら、毎月のお金の出入りや、現在の貯蓄額をあまりはっきり把握できていなくて、そのせいで漠然と不安になっているという人がいるかもしれません。
あるいは自分で浪費していることを自覚していながら見て見ぬふりをしてしまい、罪悪感のようなものを感じつつ不安も募らせている、そんなケースも考えられます。
人生という長い旅の途中で自分の現在地を見失うと、それは当然不安になりますよね。だから自分がどういうお金の使い方をしているか、今の貯金と借金がそれぞれいくらあるかをしっかり確認するんです。毎日厳密に家計簿をつける必要まではないかもしれませんけどね。
お金に余裕がある人でも、自分で、あるいは税理士さんやFPさんに相談したりして資産が増えているか、想定以上に減っていないか状況確認をしています。
なので老後のお金の不安を減らしたければ、まず今の資産状況を正確に把握することが第一歩となります。
老後の年金受給額を知る
次に、老後にもらえるお金のことを知る。
65歳以降の年金受給額のことですね。
年金は毎月ではなく2ヶ月に1回受け取れます。
これが年間でいくらくらい受け取ることになりそうか?
今40歳の人が25年後にもらう年金額を計算することに意味はあるのか?というと、25年後に今と全く同じ条件で給付されるかどうかは誰にも分かりません。が、日本の年金制度が破綻したり、我々の世代の受給額が予定の半分以下になったりするなんてことはまず考えにくいので、ざっくりとでもシミュレーションしておくといいですよ。
ここで、20歳から60歳までの40年間のうち、会社員として厚生年金に加入した年数を20年、30年、40年とした場合の年金受給額を表にしましたので参考にしてください。
平均標準報酬額 | 厚生年金加入年数 20年 | 厚生年金加入年数 30年 | 厚生年金加入年数 40年 |
---|---|---|---|
20万円 | 1,058,088円 | 1,189,632円 | 1,321,176円 |
30万円 | 1,189,632円 | 1,386,948円 | 1,584,264円 |
40万円 | 1,321,176円 | 1,584,264円 | 1,847,352円 |
50万円 | 1,452,720円 | 1,781,580円 | 2,110,440円 |
この表では国民年金の保険料は20歳から40年間きっちり払ったものとして計算していて、よって老齢基礎年金は満額の79.5万5千円を受け取るとします。また、老齢厚生年金の経過的加算や加給年金はここでは便宜的にないものとします。
ここで使っている「平均標準報酬額」というのは、簡単に言うと月給とボーナスの総額を12で割った金額です。
あなたの平均標準報酬額と厚生年金の加入年数を照らし合わせて、年間でだいたいいくらもらえそうかフムフムという感じで見てみてください。
学校を卒業してからずっとサラリーマンという人なら、一応定年まで働くとして、加入年数は40年のところを見てくださいね。
もっと詳しく知りたい方は、毎年送られてくるねんきん定期便を見たり、日本年金機構の「ねんきんネット」で試算したりできるので、ぜひ活用してください。
受給額をざっくりとでも知ることで悲観的になるんじゃなくて、現実的に今後の資金計画を考える参考にしましょう。多くの人は平均寿命まで生きられなかったとしても自分が払った年金保険料よりもたくさん受給できるので、年金はちゃんと納めましょうね。
老後に必要な生活費を知る
では、次のステップとして、将来必要な金額を見積もりましょう。
一般的に老後の生活費は現役時代の7割くらいになると言われています。
臨時的な支出があることも考えて、多めに8割として毎月の必要額を算出してみます。
例として、今の毎月の生活費が35万円なら、老後はその8割だと35万円✕0.8=28万円で生活することになります。
もらえる年金が仮に夫婦合わせて月あたり20万円だとすると、生活費が28万円ですから毎月8万円の赤字が出ますね。
65歳で年金を受け取り始めてから100歳まで生きるとして、35年間あります。
年金だけでは賄えない支出の赤字を埋められるだけの金額がいよいよ出てきます。
月8万円✕12ヶ月で年間96万円、それが35年分だと3,350万円です。
これが65歳までに貯めておきたい金額の目安となります。
で、最後に、この65歳までに貯めておきたい金額が分かったら、今の貯蓄額との差がいくらあるか確認して、実現可能な貯蓄計画を立てます。
3,350万円を65歳まで毎月定額を積み立てて貯金するという基本的なやり方も含めて、どのようにお金を増やすかということはもちろん、退職金がもらえる会社であれば規程を見て金額や計算方法を確認しておくこと、70歳まで働けるように健康に十分気をつけて生活することも大事な作戦です。
65歳までといわず70歳まで、より長く働ければベターです。貯金を取り崩しながら生活するよりも、収入が少しでもある方が精神的に安定しますからね。
仮に今40歳で、65歳までの25年間で3,350万円貯めるとしたら、1年で134万円、毎月役111,700円の貯蓄が必要になります。全く不可能な数字ではないと思いますけど、冠婚葬祭とか家電の買い替えとかいろいろなことが発生することを考えると、ただ銀行に預けるだけじゃなくて投資で運用する必要もあるかもなーとか、ちょっと考えてみようってなるのも自然なことですよね。自分の老後資金だけでなく子どもの教育資金とか、家を買う資金も必要となるとますますお金を積極的に増やすことを考えないといけません。
ちなみに私の老後資金の備え方は、今後も定年までしっかりフルタイムで働いて、しばらくはインデックスファンドの投資信託を中心に個別株にも投資して、定年が近づくに従って少しずつ国債などの元本割れリスクの低い商品の割合を高くしていって、お金が必要になった時にできるだけ損失を出さないようにしたいなと考えています。
皆さんも将来もらえる年金額と必要な生活費、そして必要な老後資金の額を確認してみてください。
だいたいのことでも把握できれば、きっと不安は小さくなります。
自分の貯蓄や借り入れがいくらあるか、ねんきん定期便やねんきんネットを利用して、将来の年金受給額がいくらくらいになりそうか、まずは確認すること。
そして老後までにいくら貯めておきたいかを考えたら、逆算して貯蓄の計画を立てます。
これができると不安はかなり和らぎます。ぜひやってみましょう。