整理収納アドバイザーとしての仕事で、印象に残ったことがあります。
服をたくさん持っているのに着たいものがない、でも減らしたいけど減らせないのがお悩みの、とってもおしゃれな女性です。
おひとりさまだから部屋のスペースは全部自分のもの。服が好きで、つい買ってしまうので、クローゼットはいつもあふれ返っているようでした。
おしゃれしたい=自信のなさの裏返し
雑誌やインスタで流行をチェックして、週末はショッピングへ行くのが楽しみ!という彼女。
買うばかりではなく、流行が終わりそうなアイテムはこまめにメルカリに出したりもしているそうですが、それでもベーシックなインナーなどは数が増えすぎてしまうとのことです。アウターはかさばるし、収納スペースが足りなくなるので、ワンルームが狭く感じると聞きました。
大好きなものを減らす際には、目的をしっかりと自身が納得していることが重要で、数を減らすことだけを優先してもメリットはありません。
強引に断捨離を行うのではなく、私は彼女にとって服がどのような役割を持っているのか、もし徹底的に数を減らすと生活やメンタルがどう変化するのかを一緒に考えることから始めました。
彼女は毎月予算内で流行の服を買っていて、ブランドものかプチプラかではなく「高見え」「おしゃれに見える」を重視しています。
そして、手持ちの服を大幅に減らすと、同じ服ばかり着ているように見られそうで自信を持てなくなったり、捨てすぎたことを後悔したりしそうな気がする…と不安を口にしていました。
根底にあるのは、間違いなく自信のなさでした。自己肯定感がかなり弱いとの自覚もあるようで、会話の中で「外見ばかりきれいにしても、中身が伴っていなければ…」なんて言いつつ、いつもおしゃれな姿でいたいという思いは自信のなさの裏返しであることを、彼女自身も認識していました。
流行の服を着て、いつもおしゃれな自分でいることで自信を持てる…、そのこと自体がいいか悪いかではなく、彼女の生活においてファッションはとても重要な要素であるという事実は、強いインパクトがありました。
「おしゃれな自分」は理想ではないのか?
では、理想の自分の姿とは?服を減らした後はどうなりたいですか?と問いかけました。
「少ない服でもうまく着回して、ある程度はおしゃれに見られたい…というか、スタイルのある人になりたいかな」「たくさん服を持っているからおしゃれというわけではないですよね」と、もうすでに彼女の心の中には答えがありました。
スタイルのある人ってどんな人?おしゃれな人=流行に乗っている人なのか?など、2人で少し話しただけで、自分のことや自分に似合うものを熟知していて、似合う服を着こなせるようになりたい!という理想にたどり着きました。
この時点で彼女は、好きなテイストの服だとつい買ってしまうこと、セール期間に大きなアウトレットモールに行くと「何か買わなきゃ」と思って買い物してしまうこと、これらは理想を叶える行動ではないことにも気付いていました。
こうなれば、あとは話は早い!
今後は本当に必要な服だけを買い、数を増やさないことに。
かつ、着回しに便利な服、気に入っている服、似合う服を残して、手放せるものは手放すことにしました。
もちろん、高かったとか限定品だったとか、すぐに手放すには躊躇する服もあり、そういったものはしばらく放置してOK。
自分に似合う服だけで服装を整える練習をするんです。流行のアイテムで外見を装備して自信を得るのではなく、自分自身(中身)と似合う服(外側)によって自身を持つために。
「整理収納」というと、便利な収納グッズやちょっとしたテクニックが注目されがちだけど、大事なのはマインドであって、お金をかけなくてもスッキリした暮らしは実現できるんだと再認識できる経験でした。